三度の飯より飯が好き

大阪で日常的に繰り広げられるハイクオリティなボケとツッコミに怯えながら暮らす女の日記。

麒麟の川島を性的な目で見てしまう

 

自分のおっぱいに対し異常なほどに嫌悪感がある。

そもそも乳首。
奴が憎い。

服に擦れたり自分の腕に触れるだけでもとてつもない不快感に襲われてしばらくイライラが止まらない。
その瞬間の怒りだけでスーパーサイヤ人になれるし、その後しばらくはおっぱいと距離を置きたくなる。
しばらくLINEとか控えよ…みたいな。
お互い冷静になってから会おっかみたいな。

毎晩、寝る時の体勢は、毛布を胸周辺に巻き付けて、さらに上から両腕でガードする徹底振り。
ピラミッドの奥底で見つかっても何ら不思議ではない寝姿だ。

なんていうか、これはとても妙なことだが、自分が女の身体であることが、ものすごく汚らわしいと思うことが定期的にある。
なんてことはない、ソファでくつろいでいたり、街を歩いているごく普通の瞬間にだ。
女でいることは楽しいしメイクもオシャレも好きだが、女性の身体でいることが急に不安で不快になるのだ。

できることならおっぱいは取り外してロッカーに預けたい。
使いたい人が使いたい時にレンタルできれば世界は平和だ。
この法案を国会で提示したら瞬時に可決されるに違いない。

髪を伸ばしてひらひらの水着を着たりミニスカートを穿いて真っ赤なリップでインスタ映えな日々を過ごしてみたいが、身体が受け付けない。

夫に「ななこ、スカート似合わないよね」と言われて以来、スカートは原住民族が祝いの儀式の際に頭に被るものだと思うことにしているが、確かにパーカーにデニムでラーメンを食べているのが一番似合うと自覚している。
けれど内心で、なんかそういう女性に対する無意識な劣等感というか「どうせ私は」といった妬みが、どんどん女というものから離れようとする心理だということも、自覚しているのだ。

ただ、こんな私が。
どんなイケメンと一緒にいてもそんな気分になれないこの私が、世界で唯一。

 

麒麟の川島を異様にエロい目で見てしまう。

 

かっこいいと思う男性芸能人は大勢いる。
かっこいいとは思わないが好きな男性芸能人も大勢いる。

でも性的な目で見るのは麒麟の川島だけだ。

別にかっこいいとも思わないしかっこよくないとも思わない、絶妙なラインにいる麒麟の川島。
気付いた時には目で追っていた。
めちゃくちゃ好きだ。性的に。
こんなにも自分と付き合っている妄想を抵抗なくできる芸能人も珍しい。

隙あらば、飲み会で隣に座ってこっそり机の下で手を繋ぐ妄想ばかりしてる。
社交性のある川島はあの笑顔と普段より少し高いトーンで目上の方々と会話を弾ませているが、隣で段々口数が少なくなってきた私に不意に「眠い?」なんて低い声で聞いて来る。
っていう妄想までしてる。
あいつ……絶対聞いてくる。
彼はそういう男だ。知らんけど。

そんな妄想が、もしかして前世付き合ってた?ってくらいスムーズに脳内再生される

ノイズ、ゼロ。
ビジョンが超鮮明。
高解像度にも程がある。

私と川島の脳内エピソードをスクリーンに映して上映したらもう『カメラを止めるな』どころじゃない。
興行収入が毎秒6億くらいいく。

なぜこんなにも川島が好きなのか。
彼は、太る前の夫と瓜二つなのである。
今やゴルフ焼けして色黒になり80キロ近くなったビビる大木にしか見えない夫が、まだ色白で60キロ台だった頃が、他でもない川島明なのだ。
川島が太ったところでなぜビビる大木になるのか、その化学式が謎だが、とにかくビビる大木は痩せると川島になる。

自分と付き合っていない頃の恋人の写真を見て、「この頃に付き合っていたら面白かったな」と思うことは、一度はあると思う。
夫が麒麟の川島だった頃は、まったく眼中にないどころかただの麒麟の川島という認識でしかなかった。
だがその面影がなくなった今、麒麟の川島を見ると、いないはずの昔の彼がそこにいる感覚に陥るのである。
世間一般的に過去の恋人と出会えるはずはないのだが、それができてしまうから、心はいつまでも恋愛期間のままだ。
川島といちゃいちゃする妄想が止まらない。
カメラを止めるなっつーか私を止めてほしい。

川島の幸せそうなインスタグラムを見ていると、2年付き合ったけど結局別れて別の女性と結婚した幸せな元カレのSNSを覗いている気分を味わえる。
そうなるとまるで私が麒麟の川島を求めて夫と結婚した未練たらしい女だ。
こんな出来たストーリーは中々ない。
かなり貴重である。

夜、川島のインスタグラムを見た後で、目を瞑りながら夫に抱きつくと、川島に抱きついているような感覚を味わえる。
なんなら臨場感出すために「明…」って呟く。
まるで『元カレへの未練を今カレで補おうとしている未練たらしい女』だが、目を開けるとそこには白目を剥きながら歯を磨いているビビる大木がいるのだ。
人生はそんなに甘いものじゃないなと思う。

夫があと15キロ痩せたら、川島に対するむらむらが夫に向かうので、夫婦円満の形に落ち着くのだが、いつになることか。

夫が痩せるその日まで、私と川島と夫の三角関係は続く……