三度の飯より飯が好き

大阪で日常的に繰り広げられるハイクオリティなボケとツッコミに怯えながら暮らす女の日記。

私とRくんと、時々、ゴリラ

 

寒くない?
超寒い。
いつも思うんだけど、秋あった?
これ毎年思う。もう冬じゃん。
読書の秋だの食欲の秋だの芸術の秋だの
言ってるわりにあいつ毎年印象薄いよね。
季節が焼き芋の屋台くらい止まる気がない。

寒い。さみぃよ。耐えらんねぇ。
既に裏起毛もニットも着ちゃった。
この冬を乗り越えられる自信がない。

そのくらい寒い。
そのくらい寒いのに。

 

でた。

 

ついに我が家にもあいつがでた。

 

鼻歌を歌いながら振り返った瞬間、
無慈悲にも壁に張り付いてた。

 

G。

 

いやいやいや待って。

アポなし?
社会人としてどう?それ。

もう、非常識すぎて「ふええ…」って声出た。
昨今のエロ漫画ですらそんなベタな喘ぎ方しないのにショックだ。
人間は驚きすぎるとエロ漫画化する。

しかも、悲運にも出会いは密室。
狭い洗面所だった。
出口はあいつの向こう側。
脱出するには、奴と超至近距離ですれ違わなければならない。

あいつとすれ違うくらいなら
蛭子能収に壁ドンされた方がましだ。
だがこのまま密室に二人きりでいたら
あいつに壁ドンされてしまうかもしれない。

それだけは避けたい事態。
殺るか、殺られるかの瀬戸際。
放映禁止レベルの必死の形相で、私は洗面所を出た。

もうね、その後は、カメラ回ってる?てくらい、見せ場見せ場の連続。

スライディングでGジェットを取り、走ってソファの裏へ転がり隠れ、噴射!
スピード感がすごいのなんのって。
ハリウッドからオファーきちゃう。
BGM:ミッションインポッシブル。
トムクルーズ、私の背中を見な。

まあ、ビビり過ぎて近付けなかったので全然Gに届いてないんだけど。
沖縄から北海道に向かって噴射するくらいの距離だったんだけどね。

しかもこんな日に限って、夫は飲み会。
麒麟の川島なら許せるけどビビる大木だから許せない。
こちとらジャングルで言葉の通じねえマサイ族とタイマン張ってんだよ!

そんなわけで、切羽詰まり過ぎて、飲み会中のビビる大木に電話して「誰か"、誰か"呼んでよ"お"!!」なんていう謎のダイイングメッセージを残したんですが。

なんと夫、さすが夫。

仕事終わりの友人Rくんにヘルプを求めてくれたのだ。
安堵と申し訳なさで言葉がない。
Gを退治するために友達の家に来てくれる人、世界にいる?

数十分後、自宅へ駆けつけてくれたRくんは、私が死闘の末になんとか倒した奴の死骸を見て、「お!がんばったじゃん!」といつもの爽やかな笑顔で褒めてくれた。
これだよ。これこれ。
これがイケメン。
まさかこの世で一番汚い生き物を見た後で、こんな綺麗な顔を拝めるなんて、世界とはよく出来ているものだ。
そんなイケメンをG退治のために無駄遣いしてしまった罪悪感。
しかもスーツのまま駆けつけてくれたので、なんかあれ、そういう業者の方?みたいになってる。

こんなに優しいのに、3回振られてるRくん。
こんなにイケメンなのに、3回振られてるRくん。
失恋が続き過ぎてついに縁切り寺に行ったRくん。

私はね、ユニセフにお願いしたい。
カンボジアよりも先にこの人を救ってくれませんか?って。
救える命がここにある。

世の中の女性にも言いたい。
ここに、こんなイケメン転がってますよ?って。
拾い放題だよー!っつって。秋だし。
Rくん狩り、今が旬だよ?って教えたい。

まあ、神様に焦らされに焦らされた分、
Rくんにはそのうち、Perfumeのあーちゃんみたいな彼女ができるんだと思う。
いやゴリラやないかい。

Gを処理して、犬の散歩まで付き合ってくれたRくんは、
「またあとで!」って笑顔で走り去って行った。

うそぉ……爽やか……
柔軟剤入ってるのかな?

かくしてGとの格闘で疲弊し切った心は、
Rくんのおかげで救われたのである。
ありがとうRくん。

そんな心優しいRくんに、いつしかLiLiCoのような彼女ができるようにと願わずにいられない。

いやゴリラやないかい。